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三ツ寺T(みつでらいち)遺跡
(群馬県高崎市三ツ寺町)
(2007・04・15)
群馬郡群馬町三ツ寺字藤塚道上にある。全国で初めて発見された古墳時代首長層の館である。榛名山東南麓裾部にあり、井野川上流部の支流である猿府川に接しており、水田地帯の中で島状に見える地形から「島畑」と呼ばれていた土地である。1980年、1981年、1983年に上越新幹線建設に伴って県埋文事業団が発掘調査した。調査面積は約3900平方メートルで、館の全体規模に比べると狭い範囲であり、館の西半部に片寄ってはいるが、館の中枢部を調査したものと考えられる。
遺跡は中世の環濠居館に似た形状で、周囲に大規模な濠をめぐらした館は86メートル四方規模で方形をなし、館全体の規模は約160メートル四方に及ぶ。館の周囲をめぐる濠は幅32メートルから40メートル、深さ3.2メートルから4メートルの水濠で、北濠取水部には木造の橋と堰があり、西濠には木樋を通した水道橋がある。また、濠の外縁約100メートルの間は館と同時期の遺構はなく、館周辺の集落との隔絶を図っている。館全域は約1メートル盛り土され、館の外周部には急角度の石垣がめぐる。濠内へ突出する方台形をした大小の張出部があり、出入口部や防御施設の機能を持ち、金属精錬の工房としての竪穴住居も張出部にある。館の外周は2重から3重の柵列がめぐり厳重に館を囲っている。また、館の東西中軸線上にも同様の柵列が走り、館内部を南北に2分し区画している。 館の北半部の区画では中央の柵列に沿って現在のところ2棟の竪穴住居が確認されている。南半部の区画とは対照的な区画であり、物証に乏しい面もあるが原之城遺跡などの例からみて、首長の従者の場あるいは倉庫群の存在が推定され、館にとっての日常的な区画と考えられている。これに対し南半部の区画は掘立柱建物や石敷遺構などが整然と配置され、館にとって公的な区画と考えられている。館の南半部の最奥部には床面積約190平方メートルの大規模な草壁構造の掘立柱建物があり、この館の主殿的建物と考えられている。この建物の前面は広場となっており、背後を重複する4棟の掘立柱建物が囲んでいる。また、主殿的建物の南には上屋をもち、方形の井戸枠を設けた井戸がある。また、主殿的建物の北には中央柵列に平行して溝が1条走り、2基の六角形をした石敷遺構が併設されていた。この遺構は西辺濠の水道橋より引水し祭祀を行った場と考えられている。 館からの出土遺物の特性として祭祀遺物の多種多出がある。古式須恵器類、特殊高坏、滑石製模造品、木製儀器などが、石敷遺構や井戸、濠といった主要祭祀の場をはじめ、盛土内や柱穴、石垣の裏込めなど館の各所から出土し、館の諸活動の各場面で祭祀行為を行っていたことを示している。 館は出土遺物などにより5世紀第3四半期ごろから5世紀末から6世紀初頭の時期と考えられており、柵列や竪穴住居を中心に2回の改築を行っている。三ツ寺I遺跡の古墳時代首長層館は高度な技術力と大量の労働力を背景に築造され、一般集落と隔絶し公的な区画と私的な区画を明確に区分し首長の祭政執行の場を形成している。館の主は農耕祭祀を基盤とし、畿内との強い関係を持つ新進の開発首長であり、北西約1キロメートルにある保渡田古墳群はこの館の首長の奥津城とされている。出土遺物は県埋文センターに保管されている。 |
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「財団法人 群馬県埋蔵文化財調査事業団」より引用 | ||
※ 「豪族の居館」は86M四方の方形で南西より北東に配置され、その延長線上に「赤城山」が存在していました。 | ||
▼国土地理院 地図閲覧サービス 543847 2万5千分1地形図名 下室田[北東]より引用・加工 | ||
▼説明の看板 | ||
群馬県高崎市三ツ寺町「主要地方道10号線」沿いの「上越新幹線高架橋」付近 (北緯36度22分29秒・東経138度59分33秒(誤差含む))より「三ツ寺T遺跡」を望む ▼(南より望む) |
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群馬県高崎市三ツ寺町「主要地方道10号線」沿いの「上越新幹線高架橋」付近 (北緯36度22分31秒・東経138度59分33秒(誤差含む))の「三ツ寺T遺跡」より 「武尊山(2158.3M)」を望む ▼(南西より望む) |
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同上地点より「赤城山(1828M)」を望む ▼(西南西より望む) ※ 「豪族の居館」は86M四方の方形で南西より北東に配置され、その延長線上に「赤城山」が存在していました。 |
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群馬県高崎市三ツ寺町「主要地方道10号線」沿いの「上越新幹線高架橋」 (北緯36度22分32秒・東経138度59分31秒(誤差含む))の「三ツ寺T遺跡」付近より 「榛名山(1449M)」を望む ▼(南東より望む) |
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記された「北緯・東経」は平成14年4月1日施行の測量法改正による世界測地系に基づく値です
※ 参考サイト 「財団法人 群馬県埋蔵文化財調査事業団」
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